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【Dify】Difyで実現する会計DX ─ AI活用の可能性

  • yutarokunizuka
  • 4 時間前
  • 読了時間: 7分

企業の会計部門やバックオフィスにおいて、DXとAI活用が大きなテーマになっています。経理・財務の効率化だけでなく、内部統制や監査業務まで含めて「いかにデジタルを活かすか」が企業競争力を左右し始めています。その中で注目されているのが AIフロー構築ツールのDify です。

本記事では、基本的なDifyの機能や経理関連業務でDifyを活用するポイントについてご紹介します。


 【目次】

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1. はじめに:Difyとは何か?


Difyは、オープンソースで提供される生成AIアプリケーション基盤であり、AIチャットボットやワークフローを柔軟に構築できます。会計実務で日常的に扱うPDFやExcel、申告書や証憑データを読み込んで回答を生成したり、社内規程や会計基準を参照したうえで応答することが可能です。


さらに、Difyは 無料で利用開始できる 手軽さと、オンプレミス環境での構築が可能 な柔軟性を備えています。セキュリティ要件が厳しい会計部門や監査対応を意識する企業にとっても導入しやすい点が魅力です。



2. Difyの主な機能・仕様


Difyには会計DXを推進するうえで注目すべき機能が揃っています。

基本的な操作方法を覚える必要はありますが、画面は直感的で分かりやすく、実際に操作しながら学んでいける設計になっています。さらに、ノーコード/ローコードツールであるため、原則としてプログラミングは不要。マウス操作や簡単な設定だけで、AIを組み込んだフローやAIエージェントを構築できます。


  • チャットボット機能 社内の会計規程や税務ルールを取り込めば、社員からの質問にAIが自動回答できます。経費処理や勘定科目の判断など、担当者に集中しがちな問い合わせ対応を削減できます。


  • ワークフロー機能 PDF解析やExcel処理、外部システムとの接続を組み合わせて「AIワークフロー」を構築できます。たとえば請求書PDFを解析し、仕訳帳と照合し、異常値があればTeamsに通知するフローも容易に実現可能です。


  • ナレッジデータベース(RAG対応) Difyでは、PDF・Word・Excelなどのドキュメントを簡単に読み込ませ、RAG(検索拡張生成)対応のナレッジデータベースを作成できます。社内規程やマニュアルを基盤にした「社内向けAI検索システム」を短時間で構築できるため、経理・監査部門の問い合わせ対応やナレッジ共有に最適です。


  • AIモデルの選択・切り替え Dify上では、ChatGPTやGeminiなど複数のAIモデルを簡単な操作で自由に選択・切り替えできます。用途や精度の違いに応じて最適なモデルを柔軟に使い分けられるのが強みです。


  • 生成データのJSON形式出力 AIが生成した回答や分析結果を、所定のJSON形式で簡単に出力することができます。これにより、Power Automateや外部システムにスムーズに受け渡し、後続処理やレポーティングに活用できます。


  • API連携によるデータインプット 会計システムやERPから仕訳データをAPI経由でDifyに直接送信でき、常に最新データをもとにAI分析を実施可能です。


  • Power Automateとの連携 DifyはHTTPリクエストを発行できるため、Power Automateのトリガーを起動できます。「Difyで不一致を検出したら自動通知」といった高度な自動化を、既存のMicrosoft環境に組み込めます。


  • 利用形態の柔軟性(クラウド/オンプレミス)

    無料のクラウド版で手軽に試せる一方、社内サーバーに構築して機密データを外部に出さずに運用することも可能です。特に上場企業や金融機関など、高いセキュリティ要件が求められる環境でも安心して導入できます。



3. 会計DXにDifyを使うべき理由


会計業務は定型的でルールベースな処理が多い一方、証憑確認や照合、資料作成といった負荷の高い業務も多く存在します。こうした領域はAIが真価を発揮する部分です。


Difyを利用した経理業務等のバックオフィスや監査業務におけるAI活用事例は今後、別の記事で解説しますが、例えば以下のようなことが簡単に実現できます。


  • 仕訳チェック・証憑突合の効率化

    従来は人が請求書と仕訳を一件ずつ確認していましたが、Difyに任せればAIが自動照合し、不一致や異常値が検出されたサンプルのみ人間が確認するといった効率化が実現できます。

    さらにPower Automateを組み合わせれば、AIが異常を検出した時点で担当者に自動的にTeams通知が届くようにするといったフローも構築できます。


  • 社内規程やマニュアルのAIチャットボット化

    経費処理ルールや会計基準の解釈など、現場部門等からの経理部への問合せに対して、AIが自動的に即時回答することができます。人手に頼らない「ナレッジ共有基盤」として活用できます。


  • 会計帳簿等の自動分析

    試算表、仕訳帳等を読み込み、年度推移や異常点をAIに抽出させることができます。ERPや会計ソフトからAPI連携でデータを送り込めば、常に最新データで分析可能です。


  • 会計監査DXへの応用

    Difyを監査手続に組み込むことで、仕訳の異常検知や証憑確認をAIに任せ、監査人はリスクの高い領域に注力できます。監査調書の整理や過年度比較といった作業も効率化が期待できます。


さらにDifyは、直感的で分かりやすい画面設計により、担当者が実際に触りながら使い方を習得できます。加えて、ノーコード/ローコードで構築できる仕組みを備えているため、プログラミングの専門知識がなくても、AIを活用したフローやナレッジベースを自分たちで整備可能です。これにより、IT部門に依存せずに現場主導で会計DXを推進できます。



Dify活用イメージ


4. 実務活用のポイントと注意点


ただし、実務で利用する際には以下の点に注意が必要です。


  • 回答の正確性とレビュー体制

    当然ながらAIは正しくインプットデータを参照させて、正しいプロンプトを与えない限り、誤った回答を返してしまう可能性があります。特に会計基準や税務判断を行う場合や、AIに経理業務を任せる場合には、慎重に設計を行うことが必要です。また、AIに完全に依拠するのではなく、業務内容に応じてAIと人間が共同体制で作業をするようなフローを構築することが重要です。


  • セキュリティと情報管理

    経理データは高機密情報です。クラウド利用時は暗号化やアクセス権限の設定が不可欠であり、オンプレ運用を選ぶ場合も認証・アクセス制御を徹底する必要があります。


  • 社内浸透とデータ整備

    AIを有効活用するには、正確で整理されたデータをDifyに与えることが前提です。また、利用ルールや教育体制を整え「AIに聞けば解決できる」文化を醸成することも重要です。



5. まとめ:会計DXにおけるDifyの可能性


Difyは、経理・財務をはじめとした会計業務を効率化するだけでなく、監査や内部統制といった広いバックオフィス領域に応用できる強力なAI基盤です。証憑突合、仕訳チェック、規程検索、申告書分析、さらには監査調書の整理まで、幅広い業務を対象とできます。


無料で始められる手軽さ と オンプレミスでも運用可能な柔軟性、さらに AIモデルの選択・JSON出力・API/Power Automateとの連携 が揃っているため、会計DXを進める企業にとって現実的かつ強力な選択肢となります。


今後、AIを活用している会計部門とそうでない部門の間には、効率性・正確性・スピードの面で確実に差が生まれていきます。小さく試しながら成果を積み重ね、Difyを活用した会計DXを一歩ずつ推進していくことが、未来の競争力強化につながるでしょう。


おわりに

Difyを用いたAIの活用やDifyとRPAを組み合わせたAIエージェントはこれまで煩わしかった経理関連業務を効率化・自動化し、経理関連業務をより付加価値の高い業務へと進化させられる可能性を秘めています。ぜひ、Difyを活用して皆さまの業務効率化・高度化にお役立ていただければ幸いです。


なお、弊社では、経理関連業務や会計監査業務におけるAI活用やDX推進サービスを提供しております。貴社のニーズに即して、柔軟に対応可能ですので、お気軽にご相談ください。→サービスの詳細はこちらのページをクリック

 
 
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