【会計DX】freee会計×Excel Power QueryのAPI連携で実現する圧倒的な業務効率化 ― 経理業務をワンクリックで自動化!
- yutarokunizuka
- 2 日前
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更新日:5 分前

「会計システムからCSVダウンロード → Excelに貼付け → 社内報告資料等の手動作成」──。この作業、そろそろ“自動化”しませんか?
クラウド会計ソフト「freee会計」は、API(Application Programming Interface)によって外部のアプリケーションとのデータ連携を可能にしています。
そしてExcelには、「Power Query(パワークエリ)」という、APIやWebデータを自在に扱える強力な機能があります。
この2つを組み合わせることで、freee会計のデータをExcelの中でリアルタイムに取得・加工・編集・集計・分析・表示できる環境を構築できます。
つまり、「Excelを開いて、すぐに最新の会計データをExcelファイル上で操作できる」──そんな理想の状態を実現することができます。
【目次】
1. 会計システムのデータダウンロードと煩わしいExcel作業から解放されませんか?
クラウド会計ソフトの代表格「freee会計」。多くの企業が導入を進めていますが、経理現場からはこんな声をよく耳にします。
freeeのデータを使って社内資料を作成する際、毎回CSVをダウンロードするのが大変
freeeのデータが更新された場合に再度ダウンロードが必要で大変
ダウンロードしたデータを社内報告資料ファイル上で集計、加工するのが大変
実際に、この「CSVダウンロード作業」は想像以上に時間を奪います。freeeにログインし、ダウンロードしたいデータを呼び出して、処理を待ち、ファイルをダウンロードし、さらにそれを社内ドライブへ保存──。この一連の手順を、年次・月次決算等の度に何度も繰り返すのが実務の現実です。
しかも、会計データは仕訳追加や修正が発生するたびに内容が変わるため、データ更新のたびに再び同じ手順でダウンロードし直さなければなりません。
また、freeeの画面上では、会社ごとに求められる社内報告資料のフォーマットや指標を自由自在に作成することが難しく、結局はExcelでの再加工・再集計が欠かせません。
SaaSの便利さはあるものの、画面設計や集計方法が固定的であるため、柔軟な分析やカスタマイズには不向きです。一方、Excelは自由度が極めて高く、思い通りの集計表・管理資料を作成できます。
つまり、SaaSの「利便性」とExcelの「柔軟性」の間にある分断こそ、経理担当者を苦しめている本質的な課題なのです。
この課題を解決するカギが、freee会計のAPIとExcelのPower Query(パワークエリ)です。この2つを組み合わせることで、freeeのデータをExcelに直接取り込み、「最新データの取得」から「加工・編集・集計・分析・表示」までをワンクリックで自動化できます。
2. Power Query(パワークエリ)とは
「Power Query(パワークエリ)」は、Microsoft Excelに標準搭載されているデータ取得・加工の自動化ツールです。データベースやWebサイト、CSVファイル、クラウドサービスなど、あらゆる外部データをExcelに取り込み、不要な行・列の削除や並べ替え、集計といった処理をノーコードで実行できます。
従来、経理担当者は「元データをダウンロードして、Excelで整形・集計等を行い資料を仕上げる」という一連の作業を毎回繰り返してきました。Power Queryを使えば、これらの一連の操作を「クエリ」として記録し、次回からはワンクリックで再実行することができます。
例えば以下のような処理を自動化できます。
freee会計のデータを所定のExcelファイルに反映
日付や部門、勘定科目で自動フィルタリング
金額列を整形し、必要な項目だけ残す
結果をExcelシートに自動出力
一度設定してしまえば、「データ更新」ボタンを押すだけで最新データが反映されます。つまりPower Queryは、「データ収集・整形の自動化エンジン」として、Excelを単なる表計算ツールからデータ処理プラットフォームへと進化させる存在です。
■ 経理業務との親和性
Power Queryは経理業務と非常に相性が良いツールです。経理では日々、取引データ・仕訳データ・部門別データなど、膨大な数のデータを扱います。それらをExcelに取り込み、形式を整え、集計・分析して報告資料を作成するという流れは、まさにPower Queryの得意分野です。
さらに、freee会計などのSaaS会計ソフトからAPIを通じてデータを取得すれば、CSVダウンロードを繰り返すことなく、「Excelを開いてすぐに、最新の会計データが反映されている」状態を作ることができます。
■ 会計DXの要となる存在
「会計DX」というと、AIやRPAなどの高度な技術を思い浮かべがちですが、現場の生産性を左右するのは、日常的なデータ処理の自動化です。
Power Queryは、まさにその中心を担うツールです。経理が自ら設定・運用できるノーコード機能であり、現場主導でのDX推進を可能にします。
会計ソフトとExcelを「API×Power Query」でつなぐことで、SaaSの最新データを自由自在に扱える、真の会計DX基盤が完成します。
*Power Queryについてはこちらのページも参照してください。
3. freee会計のAPIとは
freee会計は、外部システムと接続するためのAPI(Application Programming Interface)を公式に公開しています(freee APIとは)。
APIを使えば、freeeの内部データをプログラム経由で外部のアプリケーションに連携することが可能です。取得できるデータは多岐にわたります。
残高試算表、総勘定元帳
仕訳・取引データ
経費精算データ
支払依頼データ
勘定科目・部門・品目マスタ
取引先・支払先マスタ
これらをAPI経由で取得できれば、もう手動のCSV出力は不要になります。「Excelを開いてすぐに、最新の会計データが反映される」――そんな環境が現実になります。
4. Power Queryでfreee APIを利用するステップ

Power Queryを使えば、freee会計のデータをAPI経由で直接Excelに取り込むことができます。この仕組みを設定しておくと、会計データを更新するたびにダウンロードや貼り付けを行う必要がなくなり、Excelを開いてすぐに、最新の会計データをExcel上で操作できるようになります。
ステップ1:freee会計でAPI接続の準備をする
freee会計は、取引や残高試算表などのデータを外部システムに提供するためのAPIを公開しています。最初にfreee上で「アクセストークン(APIキー)」を発行し、Excel側から認証できるようにします。
ステップ2:Power QueryでAPIデータを取得する
Excelの「データ」タブから「データの取得」→「Webから」を選び、APIのURLと認証情報を設定します。Power Queryにてfreee APIにAPIリクエストを送信することで、指定したデータが自動的にExcelに反映されます。
ステップ3:Excel上でデータを整形・更新する
取得したデータはPower Query上で不要列の削除や並べ替えなどを設定できます。この設定内容は「クエリ」として保存され、次回以降は「すべて更新」ボタンをクリックするだけで最新データを反映できます。
導入・研修支援のご案内
弊社では、Power Query × freee APIによる経理業務の効率化支援サービスを提供しています。経理実務に特化したPower Queryの解説や、freee APIを利用した実践的な活用方法を体系的に学べるオリジナルの研修資料もご用意しています。
Power Queryの基礎から、API連携の設定方法、実務への落とし込みまでをカバーしており、自社の経理フローに合わせた研修・導入支援も可能です。
具体的な操作方法や導入に関するご相談をご希望の場合は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
5. Saas内のデータをExcelに連携することの価値
SaaSの利点は、データがクラウドに集約され、どこからでもアクセスできる点です。しかしその一方で、「サービス提供者の設計に縛られる」という欠点もあります。
画面レイアウト、集計単位、出力形式――これらはユーザー側では変えられません。だからこそ、Excelにデータを持ってくることの価値が大きいのです。
Excelに取り込めば、
クエリで自動整形
独自KPIの算出
他のシステム(販売・人事)データとの突合など、自社仕様の“経理ダッシュボード”を作れます。
freeeの最新データを取得しながら、Excelの力で加工・編集・集計・分析・表示を自在に実行できる――それがこの連携の最大の魅力です。
6. 経理のExcel作業を“データパイプライン化”する
Power Query+APIの組み合わせは、Excelを単なる表計算ツールから、データパイプライン(データ連携基盤)へと進化させます。
データ収集 → API
加工・編集・集計・分析・表示 → Power Query
可視化 → Excel / Power BI
この構成により、SaaSの最新データをリアルタイムに反映しつつ、Excelの柔軟性を最大限に活かすことができます。
7. まとめ:SaaSとExcelのいいとこ取りを
freee会計のAPIとPower Queryを組み合わせることで、「データ取得」から「加工・編集・集計・分析・表示」までの一連作業を自動化できます。
SaaSの便利さを保ちつつ、Excelでの自由な分析も両立。これは単なる効率化ではなく、“経理が自らデータを活用できる環境づくり”です。
会計DXにおけるPower Queryの果たす役割は大きいと考えられます。
おわりに
freee会計×Excel Power QueryのAPI連携はこれまで煩わしかった経理関連業務を効率化・自動化し、経理関連業務をより付加価値の高い業務へと進化させられる可能性を秘めています。ぜひ、皆さまの業務効率化・高度化にお役立ていただければ幸いです。
なお、弊社では、経理関連業務や会計監査業務におけるAI活用やDX推進サービスを提供しております。貴社のニーズに即して、柔軟に対応可能ですので、お気軽にご相談ください。
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執筆者:株式会社トランザック | 公認会計士 | 國塚裕太郎
大手監査法人にて10年以上の監査経験のほか、大手商社にて経理実務に従事。大手会計事務所の会計アドバイザリー事業部に所属し、経理関連プロセスの高度化・効率化、DX化支援やシステム導入支援等のコンサルティングサービスに従事。 2021年に株式会社トランザックを共同設立し、クラウドアプリケーションの開発・販売、MicrosoftのPowerPlatformやAIを活用した会計業務・監査業務のDX支援サービスを提供。