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取引先のインボイス登録番号を確認する方法 3選

更新日:2023年5月5日


インボイス登録番号はTから始まる13桁の番号です。

2023年10月1日から始まるインボイス制度(インボイス制度の概要はこちらの記事をご参照→Link)。インボイス制度下では、仕入先や購入先等の取引先が適格請求書発行事業者として登録されていない場合、当該取引に対して支払った消費税は仕入税額控除の適用が受けられない(結果として、消費税の納税額が増える)などの影響が生じます。そのため、インボイス制度施行前に取引先の登録状況を確認し、未登録企業に対して登録を促すなどの対応が考えられます。インボイス制度開始時において適格請求書発行事業者として登録されるためには、原則として2023年3月末までにその登録申請を終える必要がありますので、それまでに取引先のインボイス制度への登録状況を確認し、対策を講じる必要があります。

(Update:ただし、2023年3月31日までに登録申請書を提出できなかったことにつき困難な事情がある場合に、2023年9月30日までの間に登録申請書にその困難な事情を記載して提出し、税務署長により適格請求書発行事業者の登録を受けたときは、2023年10月1日に登録を受けたこととみなされることとなりました)


 インボイス制度の開始前の準備や制度が始まった後、取引先が適格請求書発行事業者として登録された事を証する「登録番号」(インボイス登録番号)を把握する必要があります。また、入手した登録番号が本当に税務署に登録されている番号なのかどうか(真正性)を確認する必要もあります。

 では、どのようにしてインボイス登録番号を確認すればよいのでしょうか。現在、有効な方法として以下の方法が考えられます。なお、以下の方法のうち、インボイス制度施行前に実施可能な方法は2~3番となります。1番は基本的にはインボイス制度施行後、適格請求書等を受領したタイミングに可能となる方法となります。


【取引先のインボイス登録番号を確認する方法3選】

では、以下ではそれぞれの方法についてみていきましょう。


目次




1. 国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で調べる方法

取引先のインボイス登録番号は国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」(Link)で調べることができます。「適格請求書発行事業者公表サイト」はインボイス制度が開始した後、以下の項目を確認することを目的として国税庁が開設したサイトです。

  • 取引先から受領した請求書等に記載されている番号が「登録番号」か?

  • 記載された「登録番号」が取引時点において有効なものか(適格請求書発行事業者が登録の取消等を受けていないか)?

国税庁 適格請求書発行事業者公表サイトの画面 インボイス制度に登録している適格請求書発行事業者公表サイトです。登録番号(”T”を除く13桁の番号)を入力して「検索」ボタンを押すと、検索結果が表示されます。一度に10件まで検索することができます。
国税庁 適格請求書発行事業者公表サイトの画面
登録番号とは

​登録番号とは、適格請求書発行事業者の登録を受けようとする事業者が、納税地を所轄する税務署長に「適格請求書発行事業者の登録申請書」(以下「登録申請書」といいます。)を提出し、税務署長の登録を受けた場合に事業者に通知される番号です。また、登録番号は事業者へ通知されます。


登録番号の構成は、次のとおりです

  1. 法人番号を有する課税事業者 「T」(ローマ字) + 法人番号(数字13桁)

  2. 上記以外の課税事業者(個人事業者、人格のない社団等) 「T」(ローマ字) + 数字13桁(注)

 (注)13桁の数字には、マイナンバー(個人番号)は用いず、法人番号とも重複しない事業者ごとの番号になります。


出所:登録番号とは(Link


「適格請求書発行事業者公表サイト」で確認できる情報

公表サイトで確認可能な情報は以下の通りです。

項目

法人

個人、人格のない社団等

氏名又は名称

​○

住所(所在地)

(希望した場合のみ)

登録番号

登録年月日

登録年月日

​登録取消年月日、登録失効年月日


参考:適格請求書発行事業者の情報の公表方法(Link

「適格請求書発行事業者公表サイト」を使った確認方法のまとめ


国税庁のデータベースを使っているので信頼性は高いのですが、使用上は以下の点に注意する必要があります。

  • 公表サイトでは「登録番号」以外による検索はできない

  • 取引先(法人)の法人番号を入力する必要がある。

  • 法人番号のない個人事業主等の登録状況は事前に確認することが出来ない。

  • 1回の照合につき10件までしか調べられない。

以上より、「適格請求書発行事業者公表サイト」による確認方法は、インボイス制度開始前に取引先のインボイス制度への登録状況を確認する方法としては向きません。

また、特に数百、数千件と取引先がある場合には公表サイトを使って調べることは現実的ではありません。



2.取引先に直接連絡して確認する方法


第2の方法として、仕入先、購入先の取引先に直接メールや電話、郵便をつかってインボイス制度への登録状況やインボイス登録番号を尋ねることも考えられます。直接問い合わせるのですから、国税庁の公表サイトでは入手できなかった個人事業主の登録状況も把握することが出来ます。一方で、取引先一つ一つに確認するのは手間がかかりますし、返答された結果が必ずしも正しいとは限りません。返答された結果が税務署に正しく登録されているかどうかを都度確認する必要があります。


取引先に直接確認する手法例

取引先に直接連絡して確認する方法のイメージ

  • eメール

  • 電話

  • 郵便

  • Google form等を使ったアンケート



取引先に直接連絡してインボイス登録番号を確認する手法のまとめ

  • 個人事業主に対しても確認できる

  • 取引先の回答が真実かどうか、別途確認する必要がある

  • 確認するための手間がかかる

こちらも公表サイトでの調査と同様、多数の取引先への確認を手作業で行うのは現実的ではありません。



3.外部のサービスを使う方法

外部のサービスを使って取引先のインボイス登録番号を確認することも出来ます。

現時点で公表されているサービスを以下の通り大別してみました。

  1. 適格請求書に記載されたインボイス登録番号をOCRで読取って確認する方法

  2. 会社の代わりに取引先に直接確認する代行サービス

  3. 取引先マスタ情報などのファイルをアップロードして確認する方法


1.適格請求書に記載されたインボイス登録番号をOCRで読取る方法

この方法は主に会計システムを提供している会社が自社のシステム利用者に対して提供しているサービスです。内容としては、適格請求書をデータで受領、またはPDF化したものを当該システムに取り込み、システム内に組み込まれたOCR機能を使って、請求書に記載されたインボイス登録番号を自動で読み取ってくれるというものです。中には、読み取った番号を国税庁のデータと突合させて真正性を確認することが出来るサービスを開発中のところもあります。これらの方法はまだ実用段階にないため、あくまでも今後の見込みという状況です。


利点:
  • 会計システムとの連携が容易

懸念点:
  • システムの導入が必要

  • インボイス登録番号が記載された請求書を入手しなければ利用できない。そのため、制度施行前の確認には適さない、請求書が発行されない取引先の番号は別途確認する必要がある

  • システムが国税庁のデータと連携していない場合には、読み取ったインボイス登録番号の真正性を別途確認しなければならない

  • 請求書を入手した後の請求書発行事業者のインボイス登録状況の変更(登録取消や失効、未登録事業者から登録事業者への変更)が把握できない


2.会社の代わりに取引先に直接確認する代行サービス

確認業務を第三者に委託するケースも考えられます。単純に自社で行う作業を外部に委託するようなイメージです。


利点:
  • 制度施行前に確認することができる

  • システム等の導入は不要

懸念点:
  • 作業結果が出てくるまでに時間がかかる

  • 代行業者による作業結果の信頼性を別途確認する必要がある

  • 業者によっては、自社で実施するよりもコストがかかる可能性がある

  • 適時に請求書発行事業者のインボイス登録状況の変更(登録取消や失効、未登録事業者から登録事業者への変更)が把握できない


3.取引先マスタ情報などのファイルをアップロードして確認する方法

取引先マスタなどのファイルをアップロードしてファイル内の取引先の登録状況を一括で確認できるインターネットサービスがあります。ここでは、株式会社トランザックが開発した適格請求書発行事業者照合クラウドサービス「easy Invoice check」を例に、その内容を見ていきたいと思います。


利点:
  • システムの導入が不要

  • 制度開始前に確認することが出来る

  • 国税庁のデータと連携しているので、データの信頼性が高い

  • 取引先の登録状況を網羅的に把握できる

  • 請求書発行事業者のインボイス登録状況の変更(登録取消や失効、未登録事業者から登録事業者への変更)が適時に把握できる(登録状況に変更があった場合の自動通知サービスを開発中)

懸念点:
  • 個人事業主の確認はできない→2022年12月にアンケート機能が実装されたため、個人事業主等に直接確認することが可能になりました。


【サイト画面のイメージ】
インボイス登録番号を確認・検索・収集するクラウドサービスeasy Invoice Checkツールの画面イメージです。
一括検索に便利な「ファイルを一括チェック機能」と、都度検索に便利な「フリーワードチェック」機能に、取引先に直接確認できる「Webアンケート」機能がある


取引先のインボイス登録番号の確認方法まとめ

取引先のインボイス登録番号の確認方法をまとめます。外部のサービスについては、現時点で有効かつ制度開始前に利用可能なサービスとして「easy Invoice Check」をベースにした比較としています。


【インボイス登録番号の確認方法比較表】

項目

2. 取引先に直接確認

3. 外部のサービス (easy Invoice Check)

確認方法

取引先の登録番号をサイトに入力して確認する。

​取引先に直接連絡をとって登録番号を確認する。

  • ​サイトに自社の取引先マスタファイルをアップロードして登録番号を確認する。

  • 調べたい会社の名称等を入力して確認する。

  • 宛名とe-Mailアドレスを入力してWebアンケートで確認する。

確認に必要な情報

登録番号(インボイス登録番号)

取引先の連絡先(宛名、e-mailアドレス、電話番号、住所等)

取引先の名称のみ

(住所もあると検索精度が高まる)

最大確認件数(1回あたり)

10件

1件ずつ

35,000件

​個人事業主の登録状況の確認

できない

できる

​○

アンケート機能を使った直接確認が可能

​インボイス制度施行前の確認

登録番号が必須のため、適さない

確認したとしても真正性が確認できない

​○

今ある情報で確認でき、国税庁のデータとの突合まで行うので真正性も確認できる。

インボイス制度施行後の確認

​○

信頼の有る国税庁データを用いた真正性の確認が可能

確認したとしても真正性が確認できない

​○

国税庁のデータとの突合まで行うので真正性も確認できる。

​登録状況の変更確認

都度確認必要

​✕

変更は確認できない

​△

都度確認必要(登録状況に変更があった場合の自動通知サービスを開発中)

​作業工数

多い

多い

少ない

​コスト

​サイトは無料。作業工数×人件費

​作業工数×人件費、通信費(電話代、郵便代など)

​サービス料:件数に応じた料金(目安:仕入先100件の場合 年間15,000~ 月額換算1,250円~)

適した使用用途

​受領した請求書等に記載されている番号が「登録番号」であるか、また、その記載された「登録番号」が取引時点において有効なものかを確認する。

​個人事業主の登録状況を事前に確認する。

自社のマスタを使って、数百件以上の取引先のインボイス登録状況を確認する。


easy Invoice Checkツールの詳細はこちら➡Link

会社名・住所の個別入力による逆引き検索機能を今すぐ試す(アカウント登録不要で無償利用可) https://easyinvoicecheck-freecheck.transacc.jp/


最後に

いかがでしたでしょうか。取引先のインボイス登録番号の確認方法にはいくつかの種類がありましたが、貴社にぴったりな方法は見つかりましたでしょうか。


インボイス制度への対応という新たに生じた業務には、必要に応じて第三者サービスもうまく活用して、効率的で有意義な業務運営を実践していきましょう。



 

執筆者:株式会社トランザック

株式会社トランザックは、公認会計士、税理士等の会計プロフェッショナルとITエンジニアを擁し、会計業務のデジタルトランスフォーメーション化等を通じて会計業務の自動化を推進するベンチャー企業です。











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