【AI活用事例】Microsoft Teams × AIで、経理部への問合せ対応を自動化 人間とAIの協力により品質を維持した効率化を実現
- yutarokunizuka
- 4 日前
- 読了時間: 7分
毎日の経理業務の中で、現場部門からの「問合せ対応」に時間を奪われていませんか?
どの勘定科目を使えばよいですか?
交際費に該当しますか?
消費税コードはどれを使えばいいですか? など
経理部には、日々さまざまな問い合わせが届きます。
一つひとつは些細な質問でも、決算期の多忙な時期に電話やチャットで作業を中断されることは、経理担当者にとって大きなストレスであり、生産性を下げる要因です。
そこで本記事では、Microsoft TeamsとAIを連携することで、経理部への問合わせ対応を自動化した事例をご紹介します。
【目次】
1.経理部への問合せ対応の課題
2.Teams × AIにより、経理部への問合せ対応を自動化した仕組み
3.Teams × AIによる問合せ対応自動化ツールの利用イメージ
4.3つの導入メリット
5.まとめ:AIを経理の「頼れるパートナー」に

1. 経理部への問合せ対応の課題
経理部への問合せ対応は、以下の理由から、多くの企業の経理部において多大な対応工数を要しています。1人当たりの一回の問合せ対応時間で見ると、さほど大きなタイムロスではないかもしれませんが、経理部全員の年間累計時間で見ると、相当な対応工数を要していると考えられます。
同じような問合せが繰り返し実施される
社内規程等で周知しているはずなのに、それを見ずに問合せしてくる人がいる
いつ問合せが来るか読めず、自分の作業を止めて応対することが必要
現場部門にすぐに回答せねばというプレッシャー
過去の回答ナレッジが十分に経理部内で共有されず、都度、回答に時間を要する
大きなタイムロスが生じているにもかかわらず、1人当たりの一回の問合せ対応時間で見ると各個人の負荷が薄まっていることや、ツールやシステムを導入してまで課題解消が必要な領域と経営者等が感じづらい課題であることから、結果的に多くの企業の経理部担当者に永続的な負荷がかかっていることが実情かと思います。
2. Teams × AIにより、経理部への問合せ対応を自動化した仕組み

【自動化の仕組み - 全体概要】
Teams × AIによる経理部問合せ対応自動化の仕組みの全体概要は以下の通りです。
Microsoft Teams を問合せの受付窓口および回答の通知場所として設定
TeamsとChat GPT等の生成AIを連携(今回はAIワークフロー構築ツール「Dify」を用いて連携)
社内規程や過去の問合せ回答事例を生成AIが参照するナレッジデータベースとして設定 *Difyについてはこちらのページを参照してください。
この仕組みにより、生成AIが現場部門からの問合せに対する回答を社内規程や過去の問合せ回答事例に基づいて自動的に生成するとともに、生成した回答をTeamsに自動投稿することを実現しています。
これだけでも現場部門からの問合せ対応自動化にはなりますが、生成AIは、問合せに対する回答を生成するために必要な情報が無い場合には適切な回答を生成できません。また、そのような場合にでたらめな回答を生成して現場部門に回答を通知してしまうようなことがあってはなりません。
そこで本仕組みでは後述「具体的な運用の流れ④」に記載の通り、生成AIが適切な回答を生成できない問合せが来た場合を想定した工夫を施しています。
3. Teams × AIによる問合せ対応自動化ツールの利用イメージ

具体的な運用の流れ
この仕組みは、現場部門からの経理部への問合わせを Teamsを窓口に受け付け、AIが答えられるものは即時回答、答えられないものは経理部の担当者へ繋ぎ、さらに 人が作った回答をAIが学習できる形で蓄積していく設計です。
ポイントは、問合わせを次の2パターンに分けて運用することです。
パターンA:
AIが適切な回答を生成できる内容の問合せ(AIが自動回答)
①:現場部門がTeamsで経理部への問合せを投稿
②-1:AIが回答を自動投稿
ナレッジデータベース(社内規程や過去の問合せ回答事例)に基づいて回答を生成、Teamsに自動投稿
<①の画面イメージ>

<②-1の画面イメージ>

パターンB:
AIが適切な回答を生成できない内容の問合せ(人間が回答しその回答をAIが学習)
①:現場部門がTeamsで経理部への問合せを投稿(パターンA同様)
②-2:AIが経理部担当者へ回答依頼を自動通知
AIが十分な根拠を見つけられず、自動回答が難しいと判断した場合は、経理部の担当者に対して「問合せ内容」と「回答依頼」をTeamsで自動通知
③:経理部担当者が回答を投稿
通知を受けた経理部担当者が回答を作成し、Teamsに投稿して現場部門へ回答
④:上長が③の回答を点検後、AIに学習を指示
経理部担当者の回答は上長にも通知され、上長が内容を点検したうえで、将来の類似の問合せに向けて必要と判断した場合には、ワンクリックでナレッジデータベースに登録可。
これにより、③で生まれた貴重な回答がナレッジとして蓄積され、次回以降は類似の問い合わせに対してAIが自動で回答できるようになります。
<④の画面イメージ>

4. 3つの導入メリット
この仕組みを利用することで、経理部・現場部門の双方にとってメリットがあります。
① 問合わせ対応工数の劇的な削減
よくある問合せのほとんどをAIが自動対応するため、経理担当者に通知が来るのは「イレギュラーな質問」だけになります。作業の中断が減り、本来集中すべき業務に時間を割くことができます。
② 「答える」がそのまま「マニュアル作成」になる
従来、問合わせ対応をした後に、FAQリストやマニュアルを別途更新するのは大変な手間でした。 この仕組みでは、利用すればするほど自動的にナレッジがストックされていきます。
「業務をこなしているだけで、勝手にAIが育っていく」ため、ナレッジ補充の負荷が最小限に抑えられます。また、AIが随時学習するため知識の属人化防止や対応品質のばらつきも防止できます。
③ 現場部門の待機時間ゼロ
現場部門にとっても、経理担当者の返信を待つ必要がなくなります。深夜や休日、または経理担当者が会議中であっても、AIであれば即座に正しい社内ルールを確認できるため、全社的な業務スピードが向上します。
5. まとめ:AIを経理の「頼れるパートナー」に
AI導入というと、何か難しいツールを覚えなければならないイメージがあるかもしれません。しかし、今回の事例のように 「使い慣れたTeams」 をインターフェースにすることで、現場も経理部門も、新たな学習コストをかけずに業務を変革できます。
「同じ質問に何度も答えるのはもう終わりにしたい」「属人化している知識を形式知化したい」
そうお考えの経理部門の方にとって、本仕組みは、非常に有効な解決策となるはずです。
AIを活用するチームとそうでないチームの間で、スピード・品質に大きな差が出るのは時間の問題です。AI活用は「選択肢」ではなく「必須」になるでしょう。
技術スタックに関する参考情報:
本事例では、AI開発プラットフォームとして「Dify」を活用し、Teamsとの連携やRAGの構築を行っていますが、重要なのはツールそのものではなく、「人とAIが協働してナレッジを蓄積するフロー」を設計することにあります。
おわりに
Difyを用いたAIの活用やDifyとRPAを組み合わせたAIエージェントはこれまで煩わしかった経理関連業務を効率化・自動化し、経理関連業務をより付加価値の高い業務へと進化させられる可能性を秘めています。ぜひ、Difyを活用して皆さまの業務効率化・高度化にお役立ていただければ幸いです。
なお、弊社では、経理関連業務や会計監査業務におけるAI活用やDX推進サービスを提供しております。貴社のニーズに即して、柔軟に対応可能ですので、お気軽にご相談ください。→サービスの詳細はこちらのページをクリック
執筆者:株式会社トランザック | 公認会計士 | 國塚裕太郎
大学卒業後、大手監査法人にて10年以上の監査経験のほか、大手商社にて経理実務に従事。大手会計事務所の会計アドバイザリー事業部に所属し、経理関連プロセスの高度化・効率化、DX化支援やシステム導入支援等のコンサルティングサービスに従事。 2021年に株式会社トランザックを共同設立し、クラウドアプリケーションの開発・販売、MicrosoftのPowerPlatformやAIを活用した会計業務・監査業務のDX支援サービスを提供。
