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【新リース基準・実務解説】業務プロセス整備のポイント

  • 2 日前
  • 読了時間: 7分

本記事の目的

新リース基準への対応では、使用権資産やリース負債の計上、割引計算、注記対応など、どうしても会計処理そのものに目が向きがちです。しかし、実務の現場で本当に重要なのは、会計処理に必要な情報を漏れなく集め、適切なタイミングで判断し、継続的に新リース基準に対応できる業務プロセスを整備することです。


新リース基準は、一度計算して終わる制度ではありません。契約の開始から更新、変更、見積りの見直し、契約終了まで、リースのライフサイクル全体を通じて対応が求められます。

そこで本記事では、新リース基準に対応した業務プロセス整備のポイントをわかりやすく丁寧に解説します


新リースの識別で困っている人の絵

目次


ポイント① 現場部門と経理部門の役割分担

まず押さえておきたいのは、リースに関する業務は現場だけで完結しないという点です。


契約の締結や資産の利用実態を把握しているのは、多くの場合、総務、購買、店舗運営、工場管理などの現場部門です。一方で、リース期間や割引率の決定、契約変更時の再測定要否の判断などは、会計上の見積りや判断を伴うため、経理部門が主導すべき領域です。


たとえば、更新オプションをどこまでリース期間に含めるか、どの割引率を適用するかによって、使用権資産やリース負債の計上額は大きく変わります。現場は事実関係を把握していても、その事実が財務諸表にどのような影響を与えるかまで理解しているとは限りません。


そのため、実務では、現場が情報を持ち、経理が判断するという役割分担を明確にしておくことが重要です。新リース基準対応は、現場任せにも、経理の単独対応にもできないテーマだといえます。


ポイント② 経理部門によるリース関連情報の早期把握

次に重要なのが、リース関連情報が経理部門に早期に共有されるための体制構築です。


新リース基準では、契約内容によっては財務上の影響が大きくなる場合があります。特に不動産や高額設備では、リース期間の判定や契約条件の設定次第で、計上額が大きく変動する可能性があります。 


それにもかかわらず、契約締結後に経理部門へ情報が回ってくる運用では、事後対応になりやすく、必要な検討が間に合わないことがあります。


経理部門としては、少なくとも以下のようなイベントについて、早い段階で情報を把握できる流れを整えておく必要があります


  • 新規契約の締結

  • 契約更新

  • 契約条件の変更

  • 解約や返却条件の見直し

  • 大口案件や長期案件の稟議申請


特に財務影響が大きい取引ほど、契約締結前または稟議段階から経理が関与できる仕組みが重要になります。


ポイント③ リース計上の網羅性を確保する仕組みの構築

新リース基準の適用開始に向けた準備段階では、多くの企業が過去の契約を精査し、会計監査人とも協議を重ねてリース計上の網羅性に注意を払っているはずです。


一方で、新基準適用開始後においては日々、新たな契約が締結される都度、リースの識別・判定を実施していく必要があることから、経理部門として必要な情報把握に漏れがあった場合、たちまち足元の決算でリース計上に漏れが生じてしまうリスクがあります。


これを未然に防ぐためには、新規契約情報の事後把握ではなく、新規契約を必要な範囲で網羅的に検討の俎上に載せる仕組みが必要です。具体的には、以下のようなプロセスへの落とし込みが不可欠となります。


  • リース判定のフロントエンド化:  現場部門が稟議を起案する際や発注を行う段階で、「資産の占有利用があるか」といった簡易的なチェックを必須化し、経理部門への自動的なアラートや相談が飛ぶ仕組みを作る。

  • 契約名称に依存しないスクリーニング:  「リース契約」「賃貸借契約」という名称だけでなく、保守サービスやアウトソーシング契約の中に実質的なリース要素が含まれていないか、契約締結前の審査プロセスで経理が関与できるルートを確保する。

  • 他部門との連携:  法務による契約書審査や、購買によるサプライヤー選定のフローと連携し、リース資産の利用が想定される取引を、発生源泉で網羅的にキャッチアップする。


ポイント④ 契約変更や見積り変更まで含むライフサイクル全体で管理する仕組みの構築

新リース基準への対応は、新基準適用開始時の初回計上だけで完結するものではありません。 


むしろ重要なのは、新基準適用開始後に発生する新規取引や既存取引の条件変更等を適切に把握し、会計処理につなげることです。


実務上、新基準適用開始後には例えば次のような事象が発生します。


  • 新規リース等契約の締結

  • 既存契約の契約内容の変更

    • 契約期間の延長や短縮

    • 解約条件の変更

    • 面積や使用範囲の変更

    • 賃料改定 など

  • 既存リース物件の利用実態等の変更

    • 延長オプションの行使見込の変更

    • 延長オプションの実際の行使に伴うリース期間の変更


こうした事象を適時に拾えなければ、開始時点で正しく処理できていても、その後の財務諸表が実態と乖離してしまいます。


したがって、新リース基準対応では、契約台帳を整備するだけでなく、どのような事象が生じたら、誰が、いつ、どのように経理へ連携するのかという運用ルールまで設計しておく必要があります。 


新リース基準は、開始時点の論点であると同時に、継続管理の論点でもあります。


ポイント⑤ 判断基準の標準化

新リース基準の難しさは、会計処理そのものよりも、見積りや解釈を伴う判断が多いことにあります。

たとえば、次のような論点は、案件ごとに個別判断が必要になります。


  • 更新オプションを踏まえたリース期間の判定

  • リースと非リースの区分

  • 契約変更時の取扱い

  • 割引率の適用方法

  • 見積り変更時の会計処理


これらを担当者ごとの判断に委ねてしまうと、部門間で結論がぶれやすくなり、継続運用や監査対応の負担が大きくなります


そのため、実務では、判断ルール、必要資料、承認者、例外時のエスカレーション先を整理したルールブックや判断メモを整備しておくことが有効です。 


誰が判断しても一定の結論に近づける状態を作ること、そして判断根拠を後から説明できる状態にしておくことが重要です。


まとめ|新リース基準対応は、業務プロセスと内部統制の再設計

新リース基準対応は、単なる会計基準対応ではなく、契約管理、申請フロー、会計判断、台帳管理をつなぐ業務プロセスと内部統制の再設計と捉えるべきテーマだといえます。


経理担当者にとって重要なのは、会計処理の正しさだけを追うことではありません。 


必要な情報が適時に集まり、判断基準が統一され、契約変更まで含めて継続的に管理できる仕組みを作ることこそが、新リース基準対応の実務上の本質です。


現場任せでも、経理の属人的対応でもなく、部門をまたいで回るプロセスとして設計できるかどうか。 


そこが、新リース基準対応を一時的な制度対応で終わらせず、継続的に機能する実務へと定着させられるかどうかの分かれ目になるでしょう。

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【参考】新リース会計実務関連ブログ


 
 
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